運動のし過ぎで三角筋を傷めてしまったのが、来店のきっかけでした。
彼女はゴルフがとても上手でスコアも七十台で回ってくるほどの腕前です。
長いお付き合いでしたが、ある日こう打ち明けられました。
彼女は専業主婦です。
仕事を辞めて二十年以上経っています。
自分の収入はありません。
それでも旦那さんと一緒に老後を送る気持ちにはなれない、と別れることを決断しました。
私は離婚否定派ではありません。
嫌々一緒にいても身体に良くないからです。
しかし女性の場合、現実的な話、どうやって生計を立てるか、です。
スーパーのレジ打ちが悪いとは言いません。
それでももっと彼女に来てほしいと思う職場はいっぱいあると思いました。
彼女はお父さんが外国の方です。
英語も堪能です。
私からみれば引く手あまたです。
この時彼女は五十歳になったところでした。
「もう正社員なんて無理だろうな」と言っています。
明るい未来を思い描けず、肩も背中もコチコチです。
私は、しばらく伴走しようと決めました。
彼女は全然真にうけません。
色々と手続きが終わるまでは動けないし、せめてPCが使えるようになろうと勉強を始めました。
その甲斐あってか事務職の採用が決まります。
久しぶりの社会人生活を楽しんでいましたが、事務職とは肩がコルものです。
そして残りの人生をかけてやりたいと思っている仕事ではありませんでした。
彼女はまだ顔を立てに振りません。
勤めた職場が倒産したり、また就職活動をしたりで、なかなか落ち着きません。
事務職で採用されたのに、やっていることは技術営業のようなことになって行って、こんな専門的なことわからないしやりたくないのに、という不満を抱え転職を考えながら働いています。
彼女のコリもとれるはずがありません。
そしてどうしても、正社員の採用を探してしまいます。
六十歳から先、どうしますか?
今からレッスンプロの経験を積んで、八年後、沢山の生徒さんを教えている方がいいと思う。
どうせ頑張るなら、こっちだと思うけど
酷い言われようです。
こんなこと言う権利など、整体師にはないのです。
それでもあえて言わせてもらえば、その肩コリ、どうするの?です。
一生肩をコラせて、一生うちに通ってくれても構わないのですが。
でもそれは、私のやりたいことではないのですよ。
だってあなたはもっと元気に生きていける人だから。
これはもう腹を決める時なのです。
彼女は言葉に詰まりました。
飲み屋さんでの作戦会議です。
そんなところまで整体師は行っちゃうのです。
だって伴走中だから。
どこまでも付き合いますよ、私は腹をくくっていますよ、と迫ります。
彼女は酔った勢いも手伝って
やればいいんでしょ!
拍手喝采です。
今の職場を辞めて、どうせアルバイトを探すならゴルフ関係の所で、と動き始めました。
今では職場の休みの日にコースレッスンなど遠出もこなし、実質休みなしで働くほどです。
当店へは普通の疲労で来店されます。
それをほぐすのは、私にとって、とても楽しいことです。
一日中ゴルフのことを考えていて、大変だけど、なんだか本人も楽しそう。
長い人生、色々な状況変化が起きます。
筋肉疲労からの肩コリが、気づかぬうちに精神疲労からのコリに変わることはよくあることです。
長く同じ身体を診ていると、解ることもあります。
それを見抜くのも、整体師の仕事だと思っています。
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