眠れない、食べられない、という人が来店してきました。
眠れなければ神経の緊張は高まり、身体はコリ固まっていきます。
私は心療内科医ではありませんが、このコリをほぐすのは私の仕事です。
そこで、まずは話を伺うことにしました。
きっかけ
ある日風邪をひいて内科を受診しました。
薬をだされ、それを飲んでいたら食欲が落ちて眠れなくなりました。
おかしいな、と思っている内にどんどんと痩せて首や肩が痛くなりました。
もう一度内科を受診し、薬が合わなかったのではないかと伝えました。
「ちっ」
お医者さんが舌打ちをしたように見えました。
そんなに肩や首が痛いなら整形外科を受診してください、と勧められました。
彼女は舌打ちされたことに傷ついて、もうそれ以上は相談できなくなりました。
整形外科の受診
勧められるまま整形外科に行くと、側彎から来ているものでこれは子供のうちに治しておくものだから、もう治らない、それでも週二回リハビリに来れば多少は緩和するでしょう、と言われ通うことになりました。
それでも身体の痛みはとれません。
あれ?体のねじれを治すことが目的だったかな?
訳が分からなくなりました。
婦人科の受診
今度は職場の人の勧めで婦人科を受診しました。
更年期なのかと思ったからです。
そこでは安定剤と睡眠導入剤が処方されました。
彼女は驚きました。
どうして良いか分からなくなる
うつでもないのに、そんな薬飲みたくない、と思いました。
眠れない、食べられない日は続きます。
もうフラフラです。
みわ整体と出会う
そこで友達の勧めで整体院に行くことにしました。
それが私の店でした。
お客様「思い起こせば単身赴任していた夫が戻って来てから、生活のリズムが乱れて、すごくイライラしていました。もう私、あの人と暮らせない。離婚したら治るかしら」
院長「いやいや、原因の追究は後でにしましょう。まずは眠ることと食べることに焦点を当てましょうか。眠る・食べるは生きていく上での基本ですからね。それができるようになってから、次を考えましょう」
なぜこんなことになったのかしらと、神社にお参りに行ったりしていたそうです。
もう藁にもすがる思いでここに来たこともよくわかりました。
これはただ背中や肩を解すだけでは焼け石に水になるな、と思いました。
まずは食事から始める
まずは食事を取らなければ気力もでません。
今までに食べたこともなかったゼリー状の栄養補助食品から口に付けてもらい、食事回数を八回に分けました。
一度に沢山摂らなくてもいいのです。
喉を通らないのなら、少量で栄養価の高いものを摂れればいいのです。
私のお店に来ていない時間で、やっておいてもらう事が沢山あるなと思い、宿題を出すことにしました。
表を作り、一日に食べた物を記入します。
食べられなかったときは正直に、なし、と書いてもらいます。
眠気スイッチを作動させるために、朝日に当たってもらう事にしました。
朝日を浴びるとセロトニンというホルモンが発生し、それが発生すると十四時間後にメラトニンというホルモンが発生します。
これが睡眠誘導ホルモンなのです。
そしてホルモンの分泌には、やはり食事が必要でした。
眠りの環境も整えていく
それと並行して睡眠導入剤を飲むことを検討しました。
彼女の今現在の体重を考えれば、成人女性の標準体重よりも随分少ないので、処方された量よりも少量で十分効果があるのではないかと思われました。
彼女は飲むのを嫌がりました。
それはネットの情報から、睡眠薬は依存性が高い、と言われていたからです。
院長「でもね、眠れない、食べられない、だと依存状態になる前に、死んじゃうんだよ。渡されている量の四分の一から試してみようか」
彼女は小さくうなずきました。
体全体のことにも意識を向けます
もちろん、癌、ということも疑います。
彼女は健康診断も受けて、特に異常はない、と言われていました。
私から見れば、こんなに痩せてて眠れなくて、とても異常な状態だと思いますが。
必要な環境を整えれば変化が出てきます
宿題を出して四週間が過ぎたころでした。
彼女に変化が起きました。
睡眠導入剤を飲まない、という戦いを止めて、少量ずつ飲むことに決め、眠れる日が増えてきたのです。
食事も小分けながらも表に記入しようと、一生懸命食べる努力をしたことがうかがえます。
チワワのような震える目の焦点が合ったように思えました。
眠れるようになってくると、不安感が減少するのです。
何が原因で彼女が不安感を持つようになったのかは不明ですが、元の生活に戻る道筋がようやく見えました。
眠れるようになると筋肉の緊張が解け、血行もよくなり、内臓も動くようになります。
摂った食事が消化・吸収できるようになるのです。
吸収した栄養素は血となり骨となり筋肉となります。
ここからが整体師としての出番です
そこでようやく私の仕事ができるのでした。
触っていて、ずいぶん身体がしっかりしてきたな、と感じるようになったのは来店から三ヶ月が経った頃でした。
時間がかかるものだな、と思うかもしれません。
でも、身体を作るって、時間がかかるんです。
だから早めに、壊す前に、手を打つんですよ。
不安感は不信感を呼び、人の話を聞くことができなくなります。
これではどんな名医も太刀打ちできません。
思っているよりもっと、睡眠は万能です。
眠ることができれば大抵の不調は改善できるのです。
薬を飲まずに自分の力で眠りたい、と思ってしまいがちですが、一度不眠のスパイラルに入ってしまうと、自力で抜け出すのはとても難しいものです。
眠れないと思考力が低下します。
自分が言った言葉も、相手が言ってくれた言葉も忘れてしまいます。
とても怖いことです。
相手を信頼できず、自分の信用も失います。
眠れないだけで、多くの物を失うことになります。
それに比べたら睡眠導入剤や睡眠薬を活用するべきだと、私は思います。
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