ピンポン。
玄関のチャイムが鳴りました。
当店は予約してから来店される方が多いので、突然チャイムが鳴ると、とても驚きます。
のぞき穴から確認をすると、若い人が立っていました。
「どうぞ」と中にお通ししました。
だぶだぶのベンチコートとだぶだぶのパンツ、髪はスポーツ刈りが少し伸びたように見えます。
最近の若い子の流行りはこういう感じなのかしら、と思いながら症状を伺うと、背中がとにかく痛いと言います。
ベッドにうつ伏せになってもらい、背中を圧迫すると、少しねじれがあることが分かりました。
唐突な質問でした。
私は「何が?」と聞き返すのも無粋だなと思い、
と尋ねました。
彼は少し黙った後、こう答えました。
私は困りました。
何が白で何が黒とも思っていなかったのに、そうだと言われてしまったのです。
悩んだ挙句、
と答えました。
しばしの沈黙の後、彼は
と言いました。
私は何を当ててしまったのかとドキドキしましたが、彼がぽつりぽつりと説明してくれました。
実は「女性なんだ」と。
「まだ、女性なんだ」と。
性同一性障害。
周囲の理解を得られず、散々悩んだ十代を終え、まだ二十代前半で男性になることを決めた、という事でした。
どこか具合が悪くなって病院に行けば保険証を提示する。
身なりは男の子のようにしていても、病院では通らない。
奇異の目が注がれ、女性であることを再認識する。
整体院であれば保険証は必要ないと思って来た。
筋肉はどちらにもついているもので、性別はたいして気にしないのよ
と言うと、とてもほっとしたように笑いました。
国内で手術を受ける手筈も済んだ、職場の社長さんも理解のある人で、仕事もやらせてもらえてる、母親も応援してくれるようになった、戸籍のことも相談に行っているところがある。
よく頑張ったなぁ、と思いました。
それでも様々な葛藤もあるはずで。
ずいぶんと色々な戦いがあったわけで。
満身創痍ですね。
ゆっくりここで休んでいくといいよ。
8月1日OPEN!オンライン整体・ショップ三本指靴下のご提案(オンラインショップ)院長について料金・営業日時お店の場所時間外ご予約メールご予約電話(スマホ用)