構造的な問題もある

話を聞いても、筋肉の力みを取っても、痛みが取れない場合、構造的なところも見なくてはいけません。人は地面の上に立っています。地面と接しているのは何処ですか?
足の裏だけです。
20㎝から28㎝の長さで、150㎝から180㎝を倒れないように支えています。
凄い事だと思いませんか?
倒れもせず、歩いたり走ったり。
ところがこれを踵という点、でやっている人たちがいます。お箸を1本テーブルの上に立てているのと同じです。ひどく不安定です。人間の身体には筋肉がついています。上手くバランスを取って倒れないようにします。それを60年も70年も続けるとどうなるのでしょうか。慢性的な肩こり・腰痛です。血管は収縮し、血行は悪くなります。ほぐしても直ぐにまた固まります。

過労性構造体医学
 戸塚にあるカサハラフットケア整体の笠原巌先生が提唱している理論です。
事故や怪我など、負傷の瞬間が特定できるものは治療方法も確立しています。しかし負傷の瞬間が特定できない慢性的な痛みについては、基礎理論さえありませんでした。現場で耳にする痛みの訴えの80%はこれです。私も疑問に思っているところでした。
今現在も「使いすぎ」「運動のし過ぎ」「年齢のせい」「太り過ぎ」と言って、その人のせいだと言わんばかりの診察がされています。しかし「同じ運動量」「同じ種目」「同じ年齢」「同じような体格」であっても、痛みが出る人・出ない人に分かれてます。その違いは何なのでしょうか。
笠原先生は40年に渡りこの研究に取り組みました。裸足で歩いている国の人は、頭に水瓶を乗せて歩いていても、膝も腰も痛くならない。日本人との違いは何なんだ、と何百人ものフットプリントを撮って帰ってきました。そして見つけました。
日本人のフットプリントは、足の指が映らない。
指を挙げて歩いている。
医学書も沢山調べたそうです。それでも、何故足の指を挙げて歩いているのか、その影響は足から上に出ているのではないか、その疑問は拭えませんでした。足の裏だけで1m以上の身体を支えている。さらに指を挙げてしまう事で足の裏の面積が小さくなり、踵という点で歩行をしている。踵をドスドスいわせて歩いたら、その衝撃はどこに伝わるのだろうか。膝関節・股関節・腰椎・胸椎・頸椎と上に響き、長い年月をかけて破壊していく事もわかりました。
地球には重力があります。どうしても下に引かれる力がかかります。垂直に立っていれば重力の影響は少ないでしょう。でも曲がって立っていたら、倒れるしかありません。人間には筋肉があり、それが踏ん張ってくれて何とか倒れない、という状態です。頭の重さは5~6㎏あり、身体を少し傾けただけでも、その5~6㎏は地面に落ちようとします。落ちないでいれるのは、筋肉が引っぱっていてくれるからです。さらに地球は回っています。片足を軸にして、もう片方の足を前に出すとき、無意識に補正をします。そうしなければ歩行経路は曲がってしまうからです。軸足はねじれながら補正をします。とても微小な物ですが、何十年も毎日ねじれを受けます。
地球上に生まれて、適応できなければ滅びていくのが自然の摂理です。適応できるように生まれてきたはずです。地球に重力があり、自転するのは止められません。人間が本来持っていて退化したものがあるのではないか。それは『足底反射』でした。
足の裏に刺激が多かった時代、つまり裸足で歩いていた時代は、反射的に足の指で大地を掴み、歩行していました。転びそうになっても親指1つで踏ん張って、転ばないことができました。高さのある所から飛び降りても、瞬時に踵を挙げて、足の指と足の甲のアーチで衝撃を吸収していました。
現代は靴下を履き、靴を履き、アスファルトやツルツルの床の上を歩きます。指で大地を掴まなくても歩けるようになりました。反射は鈍くなって行きました。指に力を入れなくなり、握力が落ち、動かせなくなりました。五本に離れていた指は一塊となっています。
その結果、指を挙げ、踵を地面に打ち付け、その衝撃を関節で受け止め、骨は破壊され変形し、痛みが出てくるようになりました。時間経過の結果起きた負傷です。負傷の瞬間など特定できるはずもありません。1回1回は何の問題も無くても、繰り返し繰り返し、何十年も続けていれば痛みが出てきます。これらを過労性構造体医学と名付けたのでした。
「重力とのバランス」は人にとって切っても切れない関係でした。
足を診ずに治療行為をすれば、対処療法・気休め・慰安的行為で終わってしまいます。
大地に根を張った大木は倒れないけど、根の短い樹は強風ですぐに倒れる。根っこの部分がしっかりしていないとダメなんじゃないか、気が付いてしまえば至極当たり前の事でした。
笠原先生はテーピングを用いて、脚の親指と小指を外側に開くように固定しました。その状態で地面に足を着くと、人差し指と中指・薬指が前に伸びてきます。その三本が伸びてくると、足の甲にアーチができます。これで足の裏の面積が広がりました。衝撃はアーチで吸収無害化され、くるぶしから上に衝撃が伝わらなくなります。
おかしいな、と思いながらやり過ごしてしまった時間の五分の一の時間、巻き続けます。
私も笠原先生の講習を受け、認定証を頂きました。自分の足を毎日テーピングで巻いて三ヶ月過ごしました。どこかに痛みが出ていたわけではないのですが、足の指が冷たいと感じることがなくなりました。足の指を動かすことが当たり前になり、踏ん張っているという意識もなく勝手に動きます。これが反射でした。反射とは無意識に働く本能です。
 
ここに気が付かず、手術をしている人がとても沢山います。セカンドオピニオンという言葉が浸透してきましたが、その中に整体院も入っていると思っています。
では、膝が痛くて病院に行き、手術を勧められた人が意見を求めに整体院に来た時のお話をします。

膝の手術を決断する前に

実際の現場の話です。理論は理論で知っていてください。整体師は理論を当てはめる相手の人生を知って、どうしたら良いか考えなくてはいけないと思っています。ドクターストップなんて、整体師にはないのです。