日常のアップデート

常識とは曖昧で、常に変わって行くものだなと思っています。自分がどう思うかではなく、多くの人がどう思っているかを知っておくことは整体師として大事なことです。それは勘違いをしていて不調を悪化させている人がいるからです。
例えば私が子供の頃は、風邪を引いたらお風呂に入るなと言われていました。現在ではお風呂に入れと言うそうです。もちろん四十度近い高熱が出ているときは別です。熱も上がらずだるい時には湯船に入って温まり、免疫を活性化させることで風邪が治りやすくなることが分かったからです。子供の頃に聞いた話を今でも当てはめてはいけない。そして子供にやることを大人にやってはいけない。
一日三食食べましょう、というのがあります。これは子供も大人もやっていることだと思います。でも色々な人を見て来た私からすると、一日三食食べるのは子供まででいいのではないかと思います。何故なら子供は成長している最中だから。身長が伸び、来ていなかった生理が始まります。この時期は栄養を採って身体を作って行かなくてはいけません。でも身長が伸びることが止まった大人に一日三食の食事は必要でしょうか。成長し終わった身体に、どんどん栄養を与え続け、内臓に負担がかかっている人が沢山います。脂肪肝とは肝臓に仕事をさせ過ぎた結果、疲弊した肝臓を助けようとして寄ってきたエネルギー源の脂肪がついた肝臓の事を言います。もう成長していないのに栄養を身体に入れ過ぎて、仕事をさせられ続けた内臓の悲鳴です。
食べないとお腹が鳴って元気が出ない、と言う声も聴きます。お腹が鳴るのは正常な証拠です。胃の中が空になってようやく、胃は休憩します。お腹が鳴らない人は二十四時間仕事を与え続けるブラック企業と同じです。夕食後十六時間空けてから次の食事をしましょう、と言われているのを知っていますか?今の常識はこっちです。
大人でも妊婦さんはまた別です。それくらい一人ひとり考えていかなくてはダメです。
 良い姿勢をしようと思った時、多くの人は背を反らせるようにします。猫背はだらしないと言われて来たからでしょうか。「気を付け!」の号令と共にビシッと背筋を伸ばす。とても綺麗な整列姿勢でしょう。でもそれは号令をかけられたときにやる事です。日常生活では必要ありません。きちっとした姿勢が身体に負担の無い姿勢ではないのです。膝を反らせ背筋を伸ばして顎を引く。これが良い姿勢の常識だと思っていませんか? 私が見てきた中では、膝を反らせて立つようにしていたせいで、反張膝となり膝を痛める原因になった人が沢山いました。膝が痛くなったら手術をするのが常識ですか? 膝を緩めて立つようにすることで、膝の痛みはなくなります。それが今の常識です。運動部に入っていればうさぎ跳びをトレーニングとしてやってきた人も居るでしょう。でも今ではもうしません。
 健康のために歩きましょう、と言われています。役所では万歩計を配り、データも管理してくれます。一日一万歩、歩くことを目標にしている人も居ますが、私の所に来る一万歩歩いた足は、ガタガタです。疲労した筋肉は弛緩せず、重だるくなっています。何日もむくみが解消しない人や膝に痛みが出ている人もいました。距離を長く歩くには歩き方を変えなくてはいけません。山を登るように平地を歩きますか? 山を登るには山を登る歩き方があるように、距離を長く歩くには長く歩く歩き方があります。「昨日一万歩歩いたんだよ」と鼻高々に言っても、そこから一週間動けないでは本末転倒です。歩くのであれば踵の衝撃が強くならないように、足の裏全体を地面に付けるような感じで歩いてください。無理な大股ではなく、自分の歩幅で。
歩くことを進めているのは、家に閉じこもらず、外に出て気分転換をしましょうという意味も込められています。歩数が多ければ良いというものではありません。
 これまで医者一強の時代でした。捻挫も骨折も整形外科へ。接骨院がずいぶん泣いていたのを知っています。整形外科も接骨院も健康保険が使えます。それでも多くの人は整形外科に行きます。なぜでしょうか。外科ですよ? 外傷があり、縫合が必要ならば外科に行ったらいいと思います。ちょっと腰が痛い、膝が痛い。それで外科に行きます。何故でしょう。病院だからです。
具合が悪くなったら病院に行きましょう、と言われて育ってきたからです。さらには保険がきいて安いからです。レントゲンも撮れて誤診が無いように思うからです。もっと言えば、それが常識だからです。
百年前であればお医者さんにかかることは裕福層にしかできない事でした。今ではみんなが平等に診てもらえるように、健康保険が使えるようになりました。高額の支払いがなくなったのです。医者の給料が減ったのではありません。医療費から支払われているだけです。
病院に行くなと言っているのではありません。整体師はセカンドオピニオンの立場でいないといけないという事です。お医者さんに聞けないことも整体師には聞けるという事が大事です。そして聞かれる側は広く症例を知っていなくてはいけない。
「変形性膝関節症だから手術しましょうって言われたんだけど、手術はしたくない」とお客さんから相談されたらどうしますか?
私なら、しないでいいですよ、って言います。だって手術しなくてもその痛みは取れるから。時間はかかるけど、痛い方の脚で片足立ちできるようになるよ、歩けなくなるなんてないよ、って言えます。
「交通事故にあって、膝が逆側に曲がっちゃった」と言われたら、整形外科で手術してもらってよ、って言いますけどね。

 十年ひと昔、と言われていますが今は五年前がひと昔になっていると思います。情報伝達の手段が早くなったおかげで、研究途中の情報も出てくるようになりました。これまではテレビが最大の情報源でしたが今ではネットで知ることも調べることもできます。その中には不確かな情報も含まれています。できる限り、自分を実験台にして逐一確認をしてください。そして疑問を持ってください。食べるだけで痩せる、というものは毒って事なんじゃないか、とか。
 
 本当に難しいところですが、長く生きてきた人ほど常識のアップデートがされていません。固定概念が強く聞く耳を持ちません。また反対に生きてきた時間が短い人ほど、アップデートが頻繁で間違った情報を鵜呑みにしています。直ぐに検索し、確証のないまま自分に当てはめてしまっています。情報過多な時代になりました。選別して確かめて、どれが誰に合うのか考えて、実行しないといけないなと思っています。