整体院は何でも言っていい場所であるということ

 例えば、整形外科に行って、お腹が痛いと言えば、内科に行ってください、と言われるでしょう。スーパーに行って、本が欲しいと言えば、本屋に行ってください、と言われるでしょう。
では整体院に居て、お腹が痛いと言われたら? 私だったらこうします。
先ずトイレに行ってもらいます。出たか出なかったのか。下痢なのか便秘なのか聞きます。実際にお腹を触ります。冷たくないか、張っていないか。虫垂に炎症は無いか。腰に痛みは無いか聞きます。食事は取れているか、食べ過ぎていないか聞きます。時期も考えます。盆暮れ正月はどうしても食べ過ぎる時期です。食べ過ぎて下しているのなら、全部出れば終わります。便秘の場合はしばらく食べるのを止めるように言います。
珍しいケースとして、腹直筋の力が抜けずお腹が痛いと言っている人が居ました。不意をついてくすぐると大笑いして、腹直筋の力は抜け、お腹の痛みはやみました。
しばらく笑っていなかったんですって。何故笑う時間がなかったのかな、って私は考えますよ。
お腹が痛いなら内科に行ってね、というものでもないでしょう?
もちろん、吐き気を伴うものの場合は別です。近所に腕のいい内科があるかどうかも調べておくべきです。
子供の頃、なんでもかんでもお母さんに言っていた人は沢山います。
歯が痛い、お腹が痛い、頭が痛い、熱っぽい。お母さんは額に手を当て、顔色を見て、口の中を覗いたんじゃないでしょうか。今やお母さんも外で働く時代です。そんなに全部聞いていられません。病院に連れて行きます。もちろん重症の時はそうしてください。脱水症状が起きている、自力で起き上がれない、そんな時は救急車です。でも重症と軽症の差は知っておいて欲しいと思います。子供の内は大人が判断してくれますが、大人になったら誰に判断してもらうんでしょう。自分で自分はわからないものです。そして大人は我慢がきいてしまいます。自分で薬を買って飲むこともします。でも時に間違えることもあります。
そんな時に、おや?いつもと違うよ、と言ってあげられるのは整体師です。
そのためには、いつも、を知っていなくてはわかりません。
私の所に来たお客さんで、下痢気味で元気も出ないと力なく笑う人がいました。この人は精神的に辛い事があった時にお腹を下す人でした。「なにがあったの?」と聞かなくてはその下痢は治まりません。薬でも、治まらないんです。
整体院に居て、本が欲しいと言われたら、私だったら、なぜその本が欲しいの?と聞きます。それはその人の思考を知るうえで、とても大切なことです。問診表やフローチャートには出てこない、その人が出てきます。それも、現在、というのが出ます。
何かを調べたいのか、物語に浸りたいのか、誰かに勧められたのか。
雑談と言う方法を使って、整体師は手を動かしながら、触れないところを知るものだと思います。
だから何でも言ってもらわなきゃわからない。
彼氏と喧嘩した→眠れなかった→背中に強い張りがある。
食べ放題のお店に行ってきた→食べ過ぎた→便秘になっている→腸が内側から引っ張って腰に痛みが出ている。
海外旅行に行ってきた→移動時間が長かった→座ったまま寝た→首と肩が痛い。
話を聞き、触っている筋肉が今このような状態なのはそういう訳か、と変換していきます。その日その日で何をやっているかは違うので、聞かなければわかりません。
性格の癖が身体に影響を与えていることも沢山あります。
良い子でいよう、良い人でいよう、と心がけている人はどうしても背中の張りが強い。それはやっぱり無理があるからだと思う。自分自身納得がいっていないと肩甲骨の内側はとても硬くなります。そこは脊柱から自律神経が伸びています。心配性、気にし過ぎ、やりたくないけどやらなくてはいけないことがある、そんな時に物凄く硬くなります。
私は話を伺い、「もう充分やってきたと思うよ。もう良いんじゃないかな」と伝えることが多くあります。本人が「そうか、もう充分やったか」と自分を認めてあげることで一気にほぐれます。
これはお世辞ではだめです。その人が誰に何をしてどう思ったのか、それを共通認識として、客観的に感じたことを伝える。それが整体師には必要です。