整体師は医者ではない

 整体師の中で、異様に筋肉や骨の名称、関節の動きに詳しい人がいます。私から見れば、医者や理学療法士、柔整師と肩を並べたいだけのように思います。基本的に整体師は一人仕事です。助手も看護師もいません。申し送りもありません。物の名前とは誰かに伝えたい時に共通認識として使いたい時に使うものです。筋肉の名前を知っているからと言って施術が上手いわけではありません。名称を知っているからと言って、お客さんの不調が改善するわけではないのです。お客さんに「梨状筋、動かしてみてください」と言う事はありません。
どことどこが繋がっていて、どういう動きをするときに収縮し弛緩するのかは知っていていいと思います。でもそれはあくまで、一般論として、と思うにとどめてください。
頸椎は七つと言われていますが八つの人もいます。その場合、八つ目の名称が整体師に必要ですか?
医者になろうとしないでください。医者には医者の仕事があるように、整体師には整体師の仕事があります。医者とは『病人を診察し治療をする職業の人』のことを指します。整体師は医者ではありません。真似事をしても何の意味もありません。整体師が病人にできることはありません。
医者は治療をするのが仕事なので、なぜ治療が必要な状態になったのかは診ません。
「膝関節が変形して炎症が起きているので、手術をして骨を削って炎症が起きないようにします」
これはもっともな意見です。そうしてください。なぜ変形してしまったのかは関係ありません。
整体師は、なぜ変形してしまったのかと考えます。それを考えないと、術後五年でまた手術です。
お医者さんは治療をする人で予防をする人ではありません。整体師は二回目が起きないように、予防を考えて行かなくてはいけない。膝が変形してしまったのは、反らせ過ぎたまま何十年も暮らしていたのではないか、歩行時、踵からの衝撃を膝で受けていたのではないか、筋肉で立たず骨をつっかえ棒にして体重をかけていたのではないか。
負荷のかかった筋肉を緩め、可動域を広げ、日常の使い方を改善し、必要があればサポーターや衝撃吸収パッドを使用する。それをどれくらいの期間続けて、痛みが消えたのか、曲がるようになったのか、確認を繰り返す。
根気が要ります。相手の生活スタイル、性格も把握していないとできません。でもそれが、医者がやらないところで整体師がやるところになるんです。