おぃ!
家ネコ!居るんだろ!
ジャックが窓へ寄ってきた。
ぼ、ぼくの事を呼んでいますか?
ぼくは怖かったけど、ここまで近寄られちゃ
無視することもできず、おずおずと返事をした。
でも、いざとなれば二階に避難しよう、とか思って。
こ、こんにちは。
ぼく、なーちゃんって言います。
ぼくは恐る恐る自己紹介をした。
はぁ?なーちゃん?
だっせー
なー助で充分だ。
ちゃん、とか付けちゃって。
おぉやだやだ、とジャックは頭を振った。
それよりよ、飯ねぇか?
たんねーんだよ。ママさんなんでちょっとしかくれないの?
おれ、ピカピカの若者だぜ。
少食じじぃと同じにすんなっての。
もしかして、少食じじぃって
トラさんの事かな。
ママはお皿を二つ用意して、離れた場所に置いている。
たしか、ひと缶を二つに分けて。
今、ママね、お仕事に行ってるから
夕方またおいでよ。
伝えておくからさ。
ぼくじゃ缶詰開けられないんだよ。
そうなの?
と言うとジャックは大人しく引き下がる。
あれ?
ジャック、案外聞き分けが良いというか。
口調が乱暴なだけで、悪い奴じゃないのかも。
ぼくはトマトの苗の横で欠伸をするジャックを
そっと見つめた。