2度目の病院

ママがタクシーを呼んだと思ったら
ぼくをバッグに詰め込んで
「動物病院までお願いします」
と言った。

げー
しまった。

と思っても後の祭りで
あっと言う間にぼくは診察台の上だった。

「お腹を触ると怒るんです。
 便秘が酷いんじゃないかと思って。
 今朝はあまりご飯も食べなくて。
 そのまま物陰に隠れてしまって」

ママが誰かと話している。

パパとママの夏休みがあって
あまりにぼくにちょっかい出すから
疲れていたのはホントだった。

秘密の場所で寝ようと思っただけだった。
もちろん便秘もあったけど
ちょっと放って置いて欲しいだけだったのに。

ぼくは血を採られて、レントゲンを撮られた。

「確かに、うんちは詰まっています。
 でも正常範囲です。
 その他異常は見当たらないのですが
 これ、わかりますか?
 内臓が下がって映らないということは
 ここに脂肪があります」

ん?

「これが今日で、」

「これが9か月前です」

ママが、あ、と言った。

「太ってる」

え?
太ってる?
ぼく?

「そうです。体重も急激に増えています。
 膵臓に異常があるのではないかと考えられますが
 食事を抜いてからの採血を外部の機関に出さなければいけません。
 チュールを食べてから来られていますので
 今回の血液では検査できません。
 今日は点滴と痛み止めを行い、帰宅後食欲が戻れば
 一過性の物という事になります。
 戻らなければ至急膵臓の治療が必要です」

先生の話は淡々としていて
ぼくの話なんだけど
ぼくの話じゃないみたいだった。

「このみさんは13歳、つまり人間の年齢で言えば
 74歳くらいに当たります。
 なにかあった場合、自力で回復するのは無理です。
 食事を抜いて脂肪を減らそうという方法はダメです。
 肝臓が脂肪から栄養を採ろうとして
 肝臓に支障がでます。
 食べることができれば脂肪から吸収しようとしないので
 明日、食欲があるかどうかで判断してください。
 今日、人間も含めて私があった生物の中で
 1番の高齢者です」

がーん。

ママも一緒に、がーん、ってなってた。

パパが診察室の窓を覗き込んでいる。
迎えに来てくれたんだ。
早く帰ろうよ、おうちに。

ママは支払いを終えて
ぼくの入ったバッグを持って
パパの待つ車に乗り込んだ。

「老化による肥満のようだ」
とパパに告げている。

「でももう『運動して痩せましょう、食事制限して痩せましょう』って
 若さじゃないってことらしい。
 ここからの時間は、今まで以上に
 大事な時間になるなぁ」

ぼくはママの膝に乗せられたバッグの中で
早くおうちに帰ろうよ、と声をかけた。


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