人見知りなので、勘弁してほしいです

パタパタ。

えいっ。

パタパタ。

えぃっ。

「ぜんぜん扇げないんですけど」

ママがしかめ面をする。

失礼しました。つい。

「パパから聞いたんだって?ペンションの話」

ぼくは動きを止めて、ママを見上げる。

うん。驚いた。

「やりたい、って思ってたわけじゃないの。
 やれるかな、って見て来ただけで。
 でもやっぱり何事も、
 やりたい、って気持ちがないと始まらないよね」

ほら、パパ、何の仕事するか迷ってたから
ってママはぼくをうちわであおぐ。

そうなの?
ずっと板前さんするんじゃないの?

「うーん。パパ15歳から板前さんなのね。
 ばぁちゃんが来る前の就職活動の時、
 ドライバーの求人も持って帰ってきてたりしたの。
 ちょっと違うことしてみようと思ったみたい。
 
 パパは料理が好き、って言うよりも
 お魚が好き、って人だし。
 だったら海か川か湖の傍に住んで、
 そこで仕事できたらいいんじゃないかな、って思ったわけよ。
 釣りにいっぱい行ける環境がいいのかな、って」

たしかに、パパはよくキッチンに居るけど
それは魚を下ろしている時と
換気扇の下でタバコを吸う時だ。

「でもやっぱり調理の仕事に行ったよね。
 できない事始めるよりも、得意なこと伸ばすことにしたみたい」

お蕎麦が食べたいだけかもしれないけど
って、ママは瞳をキョロっと上に向ける。

「なーちゃん、人見知りだしね。
 ペンションやったら、あんたストレスで
 まいっちゃうかもしれないし」

はい。ありがとうございます。

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