「いやはや、なーちゃん。
どうしたもんかねぇ」
ママが珍しくため息をつく。
パパの事?って聞いてみた。
「いや、それは、まぁ、ゆっくりやればいいと思ってるんだ。
あの人、15歳から働きづめなんだし。
人生の夏休みも必要だしね。
それは置いておいて、ばぁちゃんのことだよ」
ママは再度ため息をつく。
ママのママさんは、ばぁちゃんという人で
末期ガンだと聞いている。
ガンって死んじゃうの?とママに聞くと
人間誰でもいつかは死ぬんだよ、と返ってきた。
「その死ぬ場所を考えてやらなきゃ、と思ってる」
ママは遠くを見ている。
ママとパパは最近、ばぁちゃんの居る病院に行ったり
ママの実家に行ったり
なんだか落ちつかない。
「うちに呼ぶにも、今はパパが昼間家にいるしね。
どうしたもんかねぇ」
ママはまたため息をつく。
でも、あたしはここが一番なんじゃないかと思ってる
とママはぼくを覗き込んだ。
いいんじゃない?それで。
ぼくもそう思うよ。