
081028_1301~01
ママの部屋の物が全部運び出されて
ぼくはバックに入れられ
ママは歩いて新しい家に向かった。
「まだバックに入れるほど大きくもないけど
もうフードには入らないもんね」
あたしの首が絞まっちゃう、
と言うとバックをポンポンと叩いた。
ぼくはあれから初めて外に出て
バックの側面の網越しに景色を眺めた。
パパとママ以外の人の声や車の走る音
枯れた草の匂いとすれ違う猫たちの視線。
だけどほとんどぼくには記憶がなかった。
懐かしいとも感じない。
外で待っていた引越し屋さんに声をかけると
ママは新しい部屋の鍵を開けた。