しんしんと寒い。
冷気は見えないけれど音も無く覆いつくしてくる。
「どうしても動き出しが鈍くなるよね。
やだやだ。
コロナが居なくても外出禁止になりそうな寒さだ」
ママはブルブルっと首を振る。
その横でパパは釣りの準備をしてた。
車のタイヤをスタッドレスに変えて、釣りの餌を買って
ワクワクした顔で仕掛けを作っている。
パパには寒さもコロナも関係ないみたい。
集中力っていうのかね、とママは首を傾げている。
「寒さもコロナも気のせい、みたいな顔してるけど
注意はしてるからなぁ。
どんな状況でもやりたいことをやるって姿勢は見習っちゃうなぁ」
とママも資料を整理し始めた。
明日は緑アップのヒアリングだ。
夏から準備して、ようやくゴール。
長かった半年が終わるね。
うん、なーちゃん、ありがと、とママは頷いている。
「できる限りの準備はした。
あとは挑むだけだ。
寒くてもコロナでも、やってやる」
おー、とこぶしを突き上げる。
ほんとに、パパもママも
3波も寒波も、感じてはいても
やるんだね。
きっと明日の夜は、2人とも死んだように寝るよ。
ぼくはそこを温める。
ふむ。
ぼくの心の準備。