黒くなったシタちゃん

「今朝シタちゃんを見かけたのよ。
 そしたらさ」

ママは帰って来るなりスマホをぼくに見せた。
ぼくはママの自転車が止まる音を聞いて
二階から降りてきたところだった。

もう。その前に、ただいま、じゃないの?
ぼくはママを睨む。

ごめんごめん、ただいま、なーちゃん
と言って、ママはぼくを抱き上げた。

「でね、黒い猫見かけた、と思ったらシタちゃんだったの」

ママは抱き上げたぼくに画面を見せる。

コンクリートの階段の上で毛づくろいをしている。
真っ黒に見える。
人違いじゃない?

「でも尻尾が茶色かったんだな」

ママは、絶対そうよ、と譲らない。

夏毛が抜けたのかもね、って瞳をくるっと動かす。
楽しそうな時のママだ。

ぼくも、お庭にシタちゃんが来たら聞いてみるよ、と
瞳をくるっと動かした。


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