いやぁ凄い雨だったね、と
パパとママが話している。
「久々にバッチリ降った。
花壇には恵みの雨だ」
ママはウキウキしている。
「ちょっと魚の動きも変わったぞ。
磯子で結構釣れてる」
パパもウキウキしている。
あの雨でも釣りに行ってる人がいたことにぼくはビックリだけど。
そんな会話を横にぼくはウトウトしていた。
適度な湿度は気持ちが良いんだ。
ひげも伸びるし。
蒸すほどじゃない気温は
雨を吸い込んで蒸発させない。
染み込む、って感じ。
「風も強くなってきたね。
春一番か。
毎年風が強くなると思い出すよ。
お店のオープンの時は黄砂が凄かったなぁって」
ママの声で、また1年の始まりだ、と聞こえた。
ぼくはそのまま眠りに落ちた。