除夜の鐘の音を聞くまでは

うーん、とママが唸っている。

毎日唸っているけど、今日は何なの?
ぼくは一応聞いてあげる。

「この時期さ、年を越せるか問題、っていうのが発生するのよ」

ママは目を閉じている。

何それ。
あ、ばぁちゃんの時みたいなこと?
ぼくは思い出す。
もうずいぶん前の話になるんだね。
でも歴史に残る濃い年末の出来事だ。

「なんでだろうね。
 うちは季節感を出すために、年末年始をやっているけど
 必ずこの時期、具合が悪くなったり
 アクシデントが起きたりしない?
 忙しいからかな。
 明日の朝一に予約をしてくれてた人のお母さんが
 意識を失ったのでキャンセルをって連絡が入って。
 今日の最後のお客さんは、滑って転びそうになって
 踏ん張って、股関節を痛めちゃって。
 30日と31日まで立って、歩ければいいから、三が日は寝てるから
 そこまで何とかしてほしい、とかさ。
 平穏無事に年を越すって、奇跡的なことなのかも」

ママは、あぁ、胃が痛い、どうやって歩けるようにするか、と目を瞑る。

だからか。
今日、ママの帰りは遅かった。
ママは医者じゃないのに緊急事態が発生する。
年末はお医者さんもお休みなの?

「表向きはね。
 でも彼らも待機はしてるんだよ。
 こう仕事をしている人たちは
 年末年始ほど落ち着かない時期はない」

あたしも頑張らねば。
ママは、えいえいおー、と拳を天井に振り上げた。


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