長いのか短いのか

ついにこの日を迎えました、とママが拍手をしている。
なんだろ。何か待っている日があっただろうか。

「もう。12年が終わったのよ。
 すごいよね。
 3年できたら上等だと思っていたのに。
 でもあっという間だったなぁ」

ママはしんみり目を閉じた。

あ。お店の事?
ぼくが拾われた時にはもうお店はオープンしていたので
ぼくはその日を知らない。

「知ってる人は少ないわね。
 当時は洗濯機も掃除機も置いてなかったんだから。
 よく潰れずにここまできたもんだ」

ママは、えへん、と胸を張る。

「ありがたいのはさ、
 ずっと長いお付き合いになってるお客さんが多い事だよ。
 開業する前のお店の時から来てくれてる人なんて
 17年の付き合いだもの。
 自分でもびっくりするけど
 相手もビックリしてるかも。
 いやぁ人生何があるかわからないわね」

へぇ。
ぼくとの付き合いよりも
パパとの付き合いよりも長いんだね。

「こればっかりは抜かせないのよ。
 時間って平等よね。
 なーちゃんは後から出会ったんだから
 17年前に出会ったお客さんを抜くことはできないわ」

おほほほほほほ、とママは高笑いしている。

別に抜く気なんてないもん。

ぼくはプィっと横を向いた。

ごめんごめん、とママが頭を撫でてくる。

「12年って人間で言うと、産まれてから小学校を卒業するまでの時間なんだ。
 結構長いなぁとも思うし
 まだまだこれからだなぁとも思う。
 ようやくお店は中学生になるのか、って。
 今まで楽しかったなぁとか
 これから楽しみだなぁとか。
 パパちんと一緒に観ててよ。
 あたしとお店の成長を、さ」

ママはまたしみじみと目を閉じる。

お店の成長?大きくするの?
なんか似合わない気がする。

「大きくはしない。このままで中身が成長するの」

うふふ、とママはほほ笑み、
どうぞよろしくお願いします、と頭を下げた。


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