朝起きたらもうパパはいなくて
それはいつものことなんだけど
ママもいなくて
あれ?今日は早いお客さんが入っていたのかな
とも思ったんだけど
5時から行くなんて珍しい
と思ったら二人して夕方に真っ黒こげで帰ってきた。
「もー、日焼け止め効かないじゃないのよー」
ってママは怒っていたけど
クーラーボックスをキッチンに運んでいるパパを見ると
どうやら二人は釣りに行ってたみたい。
「見てよこの、燦燦と輝く朝日を!」
これは。暑そうだね。
今日もまた、クーラーの効いた部屋で寝ていたぼくには
知らない世界だった。
「見てよこの、青い空を!」
わぁ、気持ちよさそう。
ぼくも釣り、行ってみたいな。
「だめだめ。なーちゃん干からびちゃうよ」
パパは笑っている。
釣れた鯖をお刺身用に切り分けているところだった。
「はいこれ、なーちゃんに、お土産ー」
それは小さなお魚で、白かった。
「セイゴだよ。大きくなったらスズキだけど」
ワクワクするパパを横目にぼくは匂いを嗅ぐ。
パパを見上げ、
うーん、ぼく赤いお魚が良い!
と言うと二人は、えー!まぐろ?!と叫んだ。