「まただ。
最近よく聞くなぁ」
ママがテレビを観ながら唸っている。
あれだ。不定期にやってる都市伝説の番組。
また観てるのか。
好きだね、としか言いようがない。
「目に見えないからと言って、存在していないわけではなく
存在を認めてから、見えるようになってくる、か」
ママがトンチみたいなこと言ってる。
「電子や原子も同じだもんね。
いることを認めたら活用できるようになった。
もうちょっと量子力学まじめにやっとけばよかったなぁ。
今からでもやるか」
ママのブツブツは止まらない。
もう。ほっといて先に寝ようかな。
量子力学なんて、ぼくにはよくわかんないし。
でも、ママに見えてなくて
ぼくには見えるものがある事は、教えてあげない。