お昼に出て行ったママは夕方に小さい熊手を持って帰ってきた。
その熊手には「開運招福」というお札と稲穂がくっついていた。
「二の酉だったんだよ。婦人部は交通安全母の会として
お祭りのパトロールという名の観光をしてきました」
昼間のお酉さんは歩けるもんね、ってママがスマホの写真を見せる。
まだこっちに越してくる前、パパとママは夜の酉の市に出かけてたけど
引っ越しをして行かなくなった。
パパが早く寝ないといけないのと、二人の休みがずれたからだった。
「昼間でも参拝は並んでたんだけど
五列で進むから集合時間までにあたしも
お参りできちゃった」
ってママは、やったね、とガッツポーズをとる。
「南区連合の婦人部の集合だから結構集まって。
みんなで揃いの半被と帽子被って行進するって
なかなか迫力ある」
「熊手屋さんではあちこちで、よよよい、よよよいって
やってて、活気があるっていいなと思った」
あ!ベイスターズ!
「こういうの作ってあるのが横浜らしくていいよね。
で、終わってから永田の婦人部の人たちとお茶してきました。
なんか、面白いよね。永田の婦人部の人たちって男前なんだよ。
いろんな交流が増えたなぁ。
こっちに引っ越してきて、よかったよね」
ママはぼくの顔を覗き込む。
ぼくにとってはそんなに変わらないんだけど
ママが良かったなって思うなら
ぼくも良かったよ、って言うと
このイケメンめ!と言ってママはぼくに抱き着いてきた。
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