ママがまたお絵描きを始めている。
あれだな。
緑アップの2次提案資料だ。
まったく切ったり抜いたり植えたり、何やってるんだろうね。
「ただでさえジャングルなのにこれ以上増やしてたまるか。
景観の向上を!」
なんて言ってたけど、大きさも植えてあるものもてんでバラバラな
植栽帯を、それも600mも、どうするんだろうね。
「ところがどっこい。
揃っているところがあるのだ」
ママはウフフと写真を見せる。
え?
河から見た通り?
「護岸の活用だよ。
まったく一面灰色で色気もそっけもない場所なの。
そこをだ」
と言うとお絵かきした紙を取り出した。
「河の方に弦物を下げてみようかと」
へー。
もしほんとにこうなったら
船から見ても、河の向こうから見ても綺麗だね。
でしょー、とママは言うと
でもどこから手を付けるかが問題、3年かけてやるんだから
とまた眉をしかめている。
エンドレスだね、とぼくもつい、眉をしかめた。