輪郭がぼやけても

ぼくのハゲはすっかり元に戻ったみたいだけど
結局ぼくには見えないからよくわからない。
風が当たったときに、スースーしないな、とか
パパにからかわれなくなったな、とか
そういう違いで
ぼく自身には特に変化はない。

ぼくの輪郭に変化が起こると
周りの反応が変わるだけで
ぼくにの中身に変化が起きたわけではない。

だからか。
白ちゃんのクールさを、ちょっと理解できた気がする。

もしかしたら白ちゃんは、自分に赤い鶏冠があったことも
知らないのかも。
ぼくたちはその鶏冠を見て、勝手に
ニワトリちゃんって呼んでたけど
もちろんニワトリではないし。

「別に呼び名なんて、なんでもいいのよ。
 あんた、このみ、って名前だったの覚えてる?」

ママは口の端を持ち上げて、ニヤリとする。

そういえば、そうだった。

「ようはね、なんて呼ばれても構わない、って思うことよ。
 そうしないと名前の数だけ別物になってくるわ。
 どんどん輪郭がぼやけていくのよ。
 自分を形作っているのは自分、って思わないと。
 あたしだって、うちにいるときは
 ママ、って呼ばれて
 仕事言ったら、先生、って呼ばれて
 友達には、ミキちゃん、って呼ばれて。
 みんなそうなんだけど、色んな名前を持ってる。
 その時々の顔は持ってていいと思うけど
 ぜんぶ同じ人じゃなきゃ気持ち悪いじゃない」

ねぇ、なー臓、とママは新しい名前でぼくを呼び
肩に手を回した。


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