ねぇパパ。
「なぁに?なーちゃん」
あのさ、ママが台湾から帰ってきてから
起きてるママを見かけないと思うんだけど。
「俺もそう思う」
ぼくはパパの膝の上ともいうコタツ布団の上から
ママをこっそり見ている。
ママはご飯を食べ終わるとそのまま寝落ちした。
「風邪も引いちゃってるから
寝ちゃうのはしょうがないと思うけど
お休みしてた分、仕事も立て込んでて
さらに、あれでしょ
かわぎしテラス」
パパはため息をついた。
ぼくも薄々知ってる。
毎年この時期にやって来る
ママのお店のある通りのイベントだ。
「どうしてママは手を出しちゃうんだろうね。
俺だったら、無理無理、って言って
逃げるけど」
パパはうーん、と唸る。
ぼくも一緒に、うーん、と唸る。
ママは台湾のお土産の仕分けが終わると
難しい顔をして、メモ帳とにらめっこをしていた。
そして風邪を引いて倒れている。