走って逃げろ

「なんだか色んなものに追われている気がする」

ブツブツ言いながらママは卵を割っている。

お休みに早く起きて来たと思ったら
と言うか
パパが寝坊して高速で行くぜと言って
行きたい方向と反対側に乗って
八王子に来ちゃったみたい、と
電話で起こされて、そのまま起きてる。

「焦るとろくなことがない、というのを
 早朝から聞いちゃったし
 ちょっと落ち着こう」
と言って薄力粉をふるいにかけて
なにかこねている。
と思ったらオーブンで焼きだした。

なにしてるの?

紅茶のいい香りがする。
ぼく、飲んだことないけど。

「昨日はさ、緑アップ会議最終回だったんだけど
 なんとか思う方向に落ち着いて
 あとは提出資料を整えるとこまで来たんだよね。
 さぁあ!最後の1週間で追い込むぞ!って言われたんだけど
 私はずっとやっているのでちょっと休憩だなと思って。
 他の用事に追われてた人が今こっちに追われているだけで
 私は追われないのだ。もうやってあるので
 走って逃げる」

巻き込まれてなるものか、とママはオーブンを開けた。

コーヒーとお皿を持って、席に着く。

「紅茶クッキー。茶葉が沢山あったもので」
うふふ、とママはかじりついた。
なかなかいけてる、と笑っている。

「みんな同じスピードで動くって難しいよね。
 でもバラバラだから良いのかもしれない。
 みんな一辺にヒーヒー言うより順番で回れば
 助けることもできるし」

あたしは9月にヒーヒー言いました、と
ママはもうひとつクッキーを口に放り込む。

ふむ。今逃げてるところなのか。
パパも、無事会社に着きました、と連絡が入った。
どれ、ぼくも逃げようかな。

掃除機がかけられる前に、まだ温かいお布団へ。

GO!


猫との暮らしランキング

関連記事

  1. ゴザ好き

  2. ぼくは寝てるしかできないけど

  3. 最後のお風呂

  4. 夜の寒さは

  5. レシピだけではわからない

  6. 台風が近づいている

最近の投稿

アーカイブ

LINEスタンプ販売中!


LINEスタンプ(リンク)


LINEスタンプ(リンク)