見本その1 パパ

「そんなに悩むことはないんだよ、なーちゃん。
 なーちゃんはなーちゃんのままで良いんだよ。
 なーちゃんがいるだけで、オレは嬉しい。
 何か不満でもあるの?」

パパが隣の椅子に腰をかけて
ぼくにそう聞いた。

いえ。
不満なんてないんだけど。
でも、ぼくはなにもしていないなぁ、って思ったり。

はぁ、とため息をつく。

「何がしたいの?」

うーん。
わかんない。
パパは、どうして仕事に行くの?

「オレ?
 これしかできないからだよ」

やだなぁ、なーちゃん。
オレ、他にできること、ないんだよ
ってぼくの頭を撫でる。

「オレだって、何がやりたいの?
 ってママに聞かれたことあるけど
 よくわかんないの。
 全部を知ってから選ぶ、っていう気もないけど。
 最初に出会ったのが板前だっただけ。
 勉強も嫌いだし
 できれば家で寝てたいし
 魚釣りだけやってたいし
 でも、魚釣りしてても
 釣り竿や糸や餌もかわなきゃいけないし。
 板前しかできないけど
 嫌いじゃないんだな。
 ラッキーだよね」

そうなの?

じゃ、ぼくが最初に出会ったものって?

「人間と暮らすこと、じゃない?
 これ、猫にしてはけっこう大変なことだと
 オレは思ってるけど」

だって、ママちゃん怖いでしょ?
ってパパは同意を求める。

お外に居る猫たちよりも
なーちゃんはお行儀が良いと思うよ。
さらには、オレとママちゃんの
話し相手にもなってくれて
ってパパはまたぼくの頭を撫でる。

そして、ソファに移動して
「さて、ママちゃんも居ないし
 もうひと眠りするか~」
って横になった。

まぁ、なんか、
家に居るときのパパとぼくって
けっこう同じことしてるよな、って思って
ぼくも丸くなった。


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