窓が締まっていてもわかる。
蝉の声だ。
それも大勢の声。
ぼくにも彼らが何を言っているのかは
わからない。
歌っているのか泣いているのかさえ
わからない。
パパは、うるさいって言うけど
ママは、それも夏の音って言う。
ぼくは、黙らないのが蝉だな、って言う。
ただ、
昨日と今日は別の蝉だ、って事はわかる。
玄関に咲いているニチニチソウと同じだよ。
昨日と今日では咲いている花が違う。
誰にも気付かれないほどの速度で
入れ替わっている。
同じようでいて、違うんだ。
なんて蝉の声を聞きながら、思った。