パパに言われて、ぼくはママにアピールすることにした。
出勤までまだ時間があるのを確認して
お茶を飲んでいるママに声をかける。
ちょっとちょっと。
ぼくは3段目で待機して、ママが振り向くのを待っている。
「はいはい。何でしょう」
ママはカップに、ふー、と息を吹きかけて
ぼくを見た。
こうでしょ。
とりゃ、と勢いよく小箱の上まで登る。
ママは
おー
と言って拍手をした。
「一番上は?
一番上はいらない?
登らないなら分解して低くしたいんだけど。
いる?
もう登らない?」
ママはキラキラした目でぼくを見ている。
えぇぇぇ
要求が高い。
こんなに使っているアピールをしてるのに。
これを、やぶへび、と言うのだな、って学んだ。