また花が届いた。
大きな段ボールにバスケットごと入っている。
「自分で自分に送るって案外いいな。
月一定期便ってありだね」
なんてママは言って、早速フェンスにかけた。
今回はパンジーバスケットだった。
「1ヶ月の成長の差がわかるね。
ペチュニアは思ったより長生きで復活力もあるんだな」
ママが自分で作ったバスケットは
花の少ないフェンスに移動されている。
あれ?咲いてない。
「花殻片付けたからね。蕾待ち。
造花じゃないんだからずっと咲いてるなんてないよ。
それを変化と言うんだし、待つ楽しさ、咲く楽しさなんだよね」
毎日見てるから大きくなったことに気が付かなかったけど
新しく来たパンジーバスケットよりも
1か月前に来たペチュニアバスケットは
一回り大きく見える。
そうかぁ、すごいなぁ。
知らないうちに、気が付かないうちに成長してるんだ。
ぼくは素直に感動した。
ママも、すごいよね、と微笑む。
「心を動かすものに音楽や映画があるけど
花とか絵とかってすごく静かな動だと思う。
それを穏やかって言うのかも。
世界中が花だらけになったら穏やかな世界だ」
まずは我が家から、そして河岸から、ってことだ
と言って、ママは張り切って水をあげに行った。