自律心

「かっこいいよね、しまちゃんて」

ママが淹れたてのコーヒーを持って椅子に座る。

うん、ぼくも、そう思う。

「正直、でかくて強くて横暴な猫たちの中に
 いるのは大変なことだと思う。
 でも、その環境を受け入れて、しまちゃんなりに
 生きて行ってるんだよなぁ。
 かわいそうだ、とか言って捕まえてうちに連れ込んだら
 それこそ監禁だし。あたしの我がままなんだろうし。
 しまちゃんの美学というか、生きる姿勢を
 見せさせられている気がする。
 手を出しちゃいけないものってあるじゃない。
 相手はそれを望んでいない、っていう」

ママはコーヒーに口を付けた。

しまちゃんは頑なに外の暮らしを貫いてる。
それは意地を張って、とか
強がって、とかではなく
受け入れて、自分で望んで、その中にいる。
だからあんな風に、柔らかくほほ笑むんだろう。

「案外あれで、腹くくってるのよね。
 カッコイイ。
 あたしの出る幕じゃない、って感じが」

生きるって、そういう事なのかもね、ってママはぼくを見た。

ばぁちゃんみたいだね
ってママに言うと
苦笑いした。

誰かの真似ではなく、自分で決めた事。
ぼくもしまちゃんみたいになりたいな、って思ったけど
ぼくにはぼくの生き方がある。
でもそれじゃ、何も関わらずにいたらいいの?
助けたいな、と思っても、それは邪魔なの?

ママはぼくの質問に、ゆっくりと目を閉じた。

「しまちゃんがうちの中に入ってきて、倒れていたら
 できる限りの事はしたい。
 外で倒れることを選ぶなら、自分を抑えなくちゃいけないかもしれない。
 しまちゃんの選択を、応援する、って苦しいね」

でも、楽な道なんてないんだよ、って
ゆっくりと目を開く。


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