結局間に合わず

「やっぱりダメだった」
だよねー、とママはバンザイしている。
あれは『やったぜ!』の万歳ではなく『お手上げ』の万歳だな。

ママは今年、全然小説が書けなかった。
最後の足掻きで『太宰治賞』に滑り込み提出しようとしてたんだけど
まとめきれなかった。
あちこち手を出し過ぎて、本命を逃す、ってやつだね。
小説を書くこと以外の書き物が多すぎたんだ。

「本命でもないもん。
 あたし太宰って感じじゃないし」
なんて負け惜しみを言ってたけど、
書き切れなかったのは反省してるみたい。

「まだまだ未熟である。
 なーちゃんの話を書こうとしてブレちゃた。
 まだなーちゃんが死ぬとこを書く勇気がない」
だからまだ死なないでね、なんて言ってる。

もう。そうだと思ったよ。
ぼくが死んだ後の世界なんて、ぼくだって想像できない。
その物語をママは書こうとしてた。

「小説を書く、って自分と向き合う事なんだよね。
 ブレたまま書いてると整合性が取れなくなっちゃうんだよ。
 そこの訓練になるんだよね、書いてると。
 そして教室でフルボッコに合うと、メンタルが鍛えられる。
 あーあ、教室復帰したいなぁ」

でももう、ママは教室には戻らない。
みんなが居なきゃ書けないなんて、うそだ、
1人でも書いて出せるようになる。
そんな念を、ぼくは感じた。


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