秋の最中の二の酉

お酉さんに行ってきた、と言ってママは鞄から熊手を出した。

それは去年と同じもので、同じものを返して同じものを貰って来たの?と
ぼくは不思議だった。

「姿かたちは同じでも中身が違いますーだ」

ママは笑ってばぁちゃんの写真の隣に並べている。
それも去年と同じ場所だし。

「今年はね、静かなお酉さんだったんだけど
 それもまた良かったんだよね。
 なんか後光がさしてる感じで。
 お祭り騒ぎもいいけど
 真摯に祀るって感じだったなぁ。
 今日はね、午前中出張に出てて、2人ともずいぶん元気になって
 その足でお酉さんに行って
 お店戻って、お客さんが来て、妊婦さんなんだけど、
 元気に出産できますようにって肩甲骨開いて。
 なんかやっぱりこの仕事ずっとやってきて良かったなとか思ったり」

楽しい1日でした、と二階に上がっていった。
もちろんぼくも付いていく。
寒いからね。布団でお喋りだ。

「観光と言うよりは、ほんとに商売繁盛を願う人が来てたと思う。
 自分の商いについて真面目に考えた人たちだよ。
 人出は少ないだろうけど、それでも商売をして行くっていう
 覚悟が見えたというか」

私もがんばります、と伝えてきました、ってママは目を閉じた。

目を閉じたママを覗いているぼく。
そのまま寝ちゃうんじゃないかと思って。

パッと目を開けたママはスマホの写真をめくっている。
あ。起きてたか。

「秋深し、になってきました。
 横浜も紅葉の秋だよ」

「落ち葉を見ると、掃き掃除しなきゃって思ってたんだけど
 色づいた葉が積もっているのはいいもんだね。
 なんでも無くせばいいってもんでもないなぁ」

ふむふむ、とまた目を閉じた。

これはね、ほんとに寝るやつだ。
ぼくも一緒に目を閉じる。

一緒に秋のお散歩に行く夢でも見ようかと思って。


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