看病好き

「あんにゃろー
 あたしには有給なんてないのにー」

ママは布団に埋まっている。

どう?苦しいの?

「いやもう大丈夫。
 熱も無いし。
 早めの処置が功をなしたけども
 5日は人に接触しないようにしないと。
 もー、お客さんに迷惑がかかるー
 この10年、病欠なんてしたことなかったのにー」

うわぁーん、とママは枕に突っ伏した。

そこがママの一番の辛いところらしい。
代わりが居ないって、大変だね。

「パパちんはいいわよ、出勤停止命令だもの。
 他にも従業員がいるから、仕事が止まるわけじゃないもの。
 あたしは病気になったら止まっちゃうのに。
 そこら辺をあの人はわかってないからね。
 損害賠償請求したいくらいだ」

マスクの中から、ふー、と鼻息を吐く。

ねぇ、ママ。
パパもインフルエンザで
ママもインフルエンザで
ぼくには移らないなら
もうマスクはいらないんじゃないの?

「さすが、なーちゃん。
 賢い賢い。
 でもこれはパパちん向けにしてるの。
 あなたが移したせいで、私は隔離されています、って」

ふっはっは
ママは目を細める。

ん。
パパが階段を上がってくる音がする。

ドアが開いた。

トレーにママの大好きな親子丼乗っている。

「ママちゃん、大丈夫?
 これ、食べてね」

にこっ、としてパパはトレーを置いて降りて行った。

大丈夫?じゃねーだろ!
お前が移したんだよ!

とママは天井に向かって叫んだ。


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