「どうしたの、なーちゃん。
しょんぼりして」
ぼくはベッドに上がり、うずくまっていた。
「お尻向けてないで、こっち向いてよ」
ママはぼくの背中を撫でた。
ねぇ、ぼくって、贅沢?
ぼくはママを見上げる。
「ミミちゃんになんか言われた?」
ママは眉頭を上げて、困ったねぇ、という顔をする。
「外のにゃんこたちと、なーちゃんは暮らし方が違うからね。
贅沢と言われれば贅沢かもね。
寒くても毛布に入って眠れるし
常にご飯はあるし
怪我してもお薬塗ってもらえるし。
でも外の子たちは、好きなところに行けるし
朝日も夕日も見れるし
木に登ったり、ダッシュしたり
なーちゃんにできない経験をしてる。
どっちもどっちなのよ。
一長一短。
病気や怪我や空腹も受け入れるなら外もありだし。
なーちゃんが外に出たいって言うなら止めないよ。
ただ、あたしは居て欲しいと思っているけど」
ママはゆっくりと手を放す。
ぼくは、しばらくうなだれていたけど
我慢じゃなくて
ぼくはここに居たいと思って居たんだな、って思いだした。
閉じ込められてるわけじゃない。
パパとママときんぎょずと、一緒に暮らしていきたい
と思ってたんだ。