痛いの痛いの飛んでいけ

「そんな、落ち込んでないで
 こっちおいでよ」

だって。
ぼく剥げてるし。

「どうしたらそんなことになるかね。
 狭いところに入ろうとしたの?」

したけど。
よくわかんない。

「まったく。
 あたしが一緒に昼間居たって起きることでしょうし。
 仕事辞めて家に居るってしないわよ」

はい。
その通りです。

ぼくはグズグズと傷口を
温かいコタツ布団にくっつける。

「ほら、美味しい美味しいあげるから
 元気出しなよ」

ママは、特別よ、と言って
カリカリではなく
クチャクチャご飯をお皿によそってくれてる。

それ、好き。

ぼくは、ゆっくりコタツから離れた。

うん。
美味しい。

久しぶりに食べる、クチャクチャご飯は
優しい味がする。

ひそひそ
剥げてるね。
かわいそう。
剥げてる。

パパとママは少し離れた所から
ぼくの様子を伺っている。

ひそひそ
男前が台無し。
ザビエルくんだ。
パパちんだって剥げて来たんだから
そういう事言わないの。
そうだけど。
でもなーちゃんは、また生えてくるよね。

ほんと?
また生えてくる?

パパとママを見上げる。
2人は苦笑いを浮かべた。

ぼくは鏡を見ることはないけど
風が当たるとスースーして
心がスースーしてくる。
早く治るといいな。

「怪我はまず、食べて寝ること。
 そうすれば早く治るよ」

ママはぼくを抱えて二階に移動する。
よしよし。
なーちゃん、初めての怪我だもんね。
今までよく無事で一人でお留守番できてたよね。
傷口に触らないように頭を撫でた。

ぎゅー、っとお布団に押し込まれる。

「すぐ来るから、先に寝てて。
 痛いの痛いの飛んでいけ、してあげるからね」

うん。
ぼくは素直に布団に収まった。


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