病院に行ってきた

ママが早く帰ってきたぞ、と思ったらネコバッグにぼくを入れ外にでた。

外だよ?

ビックリしたよ。7年ぶりだもん。

バッグごとだけど、ママはぼくを抱えてずいぶん長い事歩いた。
どこかに着いて、ママは誰かと喋っている。

「ちょっと元気がないと思うんです。
 水もよく飲むしおしっこもよく出てるんですが
 それはそれで腎臓の調子が悪いのかと思って。
 昨日は鼻水も出てて。
 階段の上り下りはできるんですが、段差のジャンプができない時もあって
 歳を取ったのもあると思うんですが
 お尻を触ると異常に怒る時もあって
 7年も予防注射も健康診断もしていないので一度診てもらいたいんです」

相手はふむふむと言うと、ぼくをバッグから出してお腹をモゾモゾ触った。
そしてぼくの首の周りにカラーを付けてバッグに戻し
では控室でお待ちください、と言ってママとぼくを離した。

えー!ママ!

ぼくは声も出せず、知らない人の手に渡り
血を抜かれてレントゲンを撮られた。

何が起きているのかわからない。

しばらくするとバッグの上からママの声がした。

「怖いね。でも、大丈夫大丈夫」

大丈夫。
そう?
遠い昔、ママと出会った頃、同じ声が毎晩聞こえた。
そうだ、大丈夫だった。うん。

ママは誰かに呼ばれてまた部屋に入った。

「先天的に腰椎が一つ足りないので、腸を動かす神経も足りないようです。
 便は出ていても快便ではなく押し出しなので、まだたくさん便が残っています。
 尻尾の付け根が腰椎と癒着してしまっていて、動かしたときに欠けた破片も落ちていますね。
 それで痛みがあったのだと思います。
 手術をするという方法もありますが、骨盤もあるところなので・・・。
 痛み止めの注射と便秘用の点滴をしておきましょう。
 血液検査の結果は問題ありませんでした」

あー、だからお尻触られるの嫌だったのか、とママの声がする。
やっぱり、うんち出ててもお腹張ってたしね、とも言ってる。

ぼくもなんとなく状況が把握できてきた。

ここは病院で、ぼくは検査をされたみたいだ。

帰りは途中でタクシーに乗った。

「なーちゃん、いつの間にか5.5kgになってたわよ。
 20分も抱えて歩いたなんて信じられない。
 でも時々状況を確認するって大事だね。
 パパちんに写真見せて、もう尻尾掴まないで、って強く要請しよう」

家に帰ってバッグから出ると、ぼくのお尻は痛くなくて
いつもより楽に歩けた。
病院も悪くないね。

「一時的な痛み止めだけどね。明日からはお薬の痛み止め。
 痛みが止まっている間に炎症が治まればいいな。
 後はお腹のマッサージだな」

ふむふむ、とママは計画を立てている。

ぼくは久しぶりに走って階段を上がった。
うん、痛くない。

他の猫と比べて腰の骨が一つ足りないと言われても
生まれた時からそうだったし
ひとつ多い時を知らないから別に不便も感じなかった。

「出会った時に死んじゃいそうだったんだから
 そこから13年も元気に生きてて
 今さら生まれつき問題があったって言われても
 それは特に問題ではありませんでしたってことだよ。
 でもこれからは痛い事が増えるでしょうってわかったので
 対処もできる。
 良い晩年にしようね。そしてそれは長いと良いな」

なんてママは言って、ぼくもそうだね、と一緒に布団に入った。


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