寝てばかりで、あまり歩かなくなったから
爪が伸びた。
いや、違うか。
爪とぎに行かなくなったから
爪が削れなくなった。
そうすると、爪が巻いてきて
肉球に刺さる。
だから余計に歩かなくなる。
と、いうことを
パパとママはひそひそ話していて
ついにパパに捕まって
爪を切られた。
「えー
分厚くなってる。
オレの足の小指の爪みたいだ」
なんて、パパは言いながら
ぼくをタオルでくるんで動けないようにして
いや、暴れないようにして、
いや、パパを噛めないようにして
伸びた爪を短くした。
見てよ、この格闘の後を。
お爺ちゃん扱いするなら
もっと優しくして欲しいよ。
「お爺ちゃんとは思えない威嚇っぷりだったけど」
って、ママは笑いながら
頑張ったご褒美、ってクチャクチャご飯を持ってきてくれる。
ぼくはプンプンしながら食べた。
カリカリよりこっちの方が食べやすくなったなぁ
なんて思いながら。