無情にも周りは変わっていくもので

窓の向こうが何やら騒がしい。
エンジンの唸る音と、土の匂い。
窓が閉まっていたって、伝わってくる。

「ついに始まったね」

ママもベッドに腰掛ける。

「リビングからは見えないからさ。
 けっこう、衝撃映像だと思うから、
 一緒に見ようよ」

パパとママはよくテレビでやってる
衝撃映像の番組を見ている。
きゃー
とか
わー
とか
ひどいー
とか
叫んでいるけど
それがこの窓の向こうでも起こっていると思うと
ぼくは身震いした。

レースのカーテンを開け、ママは
はー
っとため息をつく。

どれどれ。
ぼくも窓辺に飛び乗った。

ママのため息とは逆に、ぼくは息をのんだ。

つい先日までは、駐車場ではあったけれど
砂利を引いた駐車場で
その砂利の間からは雑草が生え、
つまりは緑のあった場所が
一面土色になっていた。
その土は大きな機械で耕されている。

「ここに越して来た時から覚悟はしてたんだけど
 いざそうなると、ビビるね」

ママの目が泳ぐ。

「ここに、家が2つ、建つらしい」

ぼくは部屋を見渡す。
もう、この窓から日が差し込むことはなくなるのか。
ショボンとしたぼくにママは声をかけた。

「大丈夫だよ。この窓は東で、それも斜面だったから
 朝の陽ざしはそんなに変わらないと思う。
 もう一つの窓は南向きだから、そこから日は入る。
 あんたの日向ぼっこができなくなるくらいなら
 引っ越す」

ママは、ぐっ、と拳をにぎる。


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