ママさん
ママさん
食事を終えたジャックがママをトマトの畑に誘導している。
「なによ。ここで話せばいいじゃない」
そう言いながらママもウッドデッキから移動し
隣の窓に向かう。
来た?
いいか?じゃ、話すよ。
ジャックはそういうと一つの植木鉢の前で止まる。
あのよ、これ、
枯れてると思うぜ。
ママは、がーん、とその場に立ちすくむ。
や、やっぱり?
とジャックをまじまじと見た。
うん。
俺はこれでも庭の管理をしてんだ。
間違いなく、こいつは枯れてる。
あれだけ雨が降ったんだ。
水はけが悪かったんだな。
根腐れだよ。
ジャックは、きっ、っとママを見上げた。
まぁ、でもパパさんがホワイトデーに
くれた花だってことは俺も知ってんだ。
ママさんが捨てきれないこともよくわかる。
でも、いつまでもこのままでいるわけにも
いかないだろ?
そっと、片付けちゃえよ。
ジャックはママから目をそらす。
俺がおしっこかけちゃったってことにすればいい。
ママは、ジャック、と呟くとその場に座った。