ぼくがトイレを済ませると、ママは新しい仕事机でカタカタと何かをしている。
ようやくPCの設定が終わったらしい。
新しいPCにデータの移行が、とかメールの設定が、とか
唸っていたのが終わったからね。
「新しいPCって恐ろしいほど早いのよね。
今まで使っていたのがこんなに遅いなんて驚愕」
なんてブツブツ言ってる。
おやつ出してくれないかな。
きっと無理だ。
PCに向かっているときは全然ぼくのこと無視だし。
家でもONLINE整体できるぞ、なんて言ってたけど
ぼくも入っていいのかな。
こそこそと背後に回り込む。
それでもママは気が付かない。
ちょっとつまんない。
イジケルわけじゃないけど
爪を噛んじゃうよ。
伸びてるんだけどな。
切ってほしいな、なんて。
「それはパパちんにお願いしておきましょう」
椅子をくるっと回し、ママがぼくを見ている。
ぎょ。
ママの目は後ろにも付いているらしい。
ど、どうなの?
色々準備完了?
とぼくもママを見ていたよ、と言わんばかりに聞いてみた。
まぁね、ようやく書き物ができる状態になりました、とママはうなずいた。