「あら?パパちん、その口元の傷は
剃刀によるもの?」
ママがパパの顔を見て
口の横にできた傷を突っついている。
パパは、わかんない、と言いながら
ぼくに目を止める。
「あ!なーちゃんだ!
昨日、ペンペンってされた!」
そう。
昨日はほんとしつこくて嫌になったよ。
ぼくは手加減なく
パパの頬をビンタした。
「ちょった、確認します。
おててを見せなさい」
パパはぼくを捕まえると
爪切りを取り出した。
「あぁ!こんなに伸びて!」
パパはぼくの肉球を
にゅっと押す。
ぼくの爪はにゅっと伸びた。
減点1点、減点2点、とカウントをしながら
ぼくの爪を短くしていく。
「あんよも出して」
わぁぁ
減点11点、減点12点、とカウントしていく。
「減点20点!
そんな全部伸びた爪で俺の事引っ掻くなんて!」
パパはおよよと泣き崩れた。