この家に来てから2度目の年末。
去年のパパは年越しそばを売っていたけど
ゴルフ場はお休みらしい。
今日は2人でお蕎麦を打ってみよう!と張り切って
ホームセンターで長い麺棒を買ってきた。
「あーん。せっかく大掃除したのに
リビングが粉だらけになる~」
ってママは嘆いてたけど
でもちょっと楽しそう。
パパ、お蕎麦打てるようになったの?
ぼくは長い麺棒の匂いをかぐ。
まだ木の匂いが強い。
「見て覚えて来たつもりなんだけど
こういうのは何度も練習しないとね。
今日は初めてだから、蕎麦搔がメインになっちゃうかな」
って、鼻に粉が付いた顔で答える。
横でママが昨日から準備してるおせちを
お重に詰め、コタツに持ってきた。
ぼくも何かお手伝いを。
「いやいや。
煮干し食べに来たでしょ。
コタツで丸くなって、待っててよ。
もうすぐ、パパも終わるから。
年越し蕎麦とおせちを一緒に食べちゃうって
贅沢な感じしない?
なんか、毎年違う年越しだったけど
今年が一番いいな」
ってママはほほ笑んだ。
年末のパパはけっこう忙しい事が多かったけど
ゴルフ場に勤めたおかげで、今年は皆で一緒に居れる。
これね、ばぁちゃんが一番喜んでるんだよ
ってママに伝えると
「知ってる」
って、ウィンクした。