トラちゃんがお庭で涼んでいる。
色んな事を忘れても
この家の事は覚えていて
ずっといるわけじゃないんだけど
何処からか、ふらりと現れて
のんびりした時間を過ごしている。
見た目が汚いから
病気だから
年寄りだから
あっちへ行け、なんてママはしなかった。
無理やり治療をすることもせず
相変わらずトラちゃんの生きざまを見守っている。
ぼくがトラちゃんの歳になるころ
きっとママは同じようにぼくにもするんだろう。
着かず離れず、無理強いせず。
ぼくは、それ、嬉しいかも、って思った。
安心して、歳をとれる。
あ、だからトラちゃんもここに来るのか。