ゆっさゆっさ
ゆっさゆっさ
「おぉぉぉ
びっくりした。
ハイビスカスが揺れてると思ったら
なーちゃんか」
ママがキッチンから顔を覗かせる。
ん?
揺れた?
「部屋の中に置いたのに
なんで揺れてるのかと思ったよ。
何してるの?」
ぼくは最近しまちゃんとミミちゃんから聞いた
歯磨きを実践しているところだった。
あのね、2人は外の金木犀でやってるんだって。
こうしてね、
一番長い歯をごりごり、って。
「へぇ~
器用ね~
ハイビスカスにそんな使い方があったとは。
でも幹が柔らかいからなぁ。
なーちゃんも金木犀でやりたい?」
うーん、ぼく、これでいいけど。
花が咲いているとき、匂いがすごくいいって聞いたよ。
その時はやってみたいかな。
ぼくは窓から流れて来る金木犀の香りを知っている。
「じゃ、咲いたら一緒に外に出てみようか」
ママも楽しそうにうなずいた。