歌のちから

パパとママが歌を歌っている。
ウチでは良くあることだけど、2人で一緒に歌っているのは珍しいことだった。

「やっぱり90年代なんだな。やっぱりあそこが青春だったんだ」
なんてママは頷いている。

カラオケでサビを歌詞を見ずに歌いきれるか、って番組がやっているらしい。

「この頃ママちゃんはいくつだった?」
とパパが聞くと
「うーん、20か21歳だろうね」
とママが応える。

2人が出会ったのは30代だから、お互いをまだ知らないころみたい。
もちろんぼくも生まれてない。

若い時のママを知らないパパは、うー、と口を尖らせた。

「そんなに変わらないわよ。もっとおバカさんだったくらいで」
きゃはは、とママは笑っている。

「当時は自覚なかったけど、歌は身体に染み込んでいたんだな。
 瞬時に20代に戻れるなんて、すごいことだ」

世界が終わるまでは~♪ と両手を広げて歌っている。
お風呂に入ろうとしていたパパは、服を1枚脱いでは戻ってきて、を繰り返し
いつまでもお風呂に入れない。

あ。ぼくも聞いたことがある歌が流れてきた。
ママが好きなドラマの主題歌だ。
そのドラマは何度か再放送をしていて
しつこいくらいママが見てたから、ぼくもいつの間にか覚えた歌だった。

あの蒼ざめた海の彼方で 今まさに誰かが痛んでいる

ママはスイッチが入ったように、キリっとした。

そうだそうだ、と涙を浮かべる。

言葉とかメロディーとか、大事な要素は色々あるんだろうけど
なにがママに染み込むんだろう。
染み込みやすい時期を青春と呼ぶのなら
ママはまだ青春なのかもしれないね。


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