ママが早く家を出たと思ったら
検査を受けていたらしい。
健康診断かと思ったら花壇の工事の方だって。
納品書の数、ちゃんと植えられているか
指で数えて確認された、って。
職員の人も、大変だね。
「誰も嘘をつかない世の中なら、こんなことしないでいいんだろうけど
多少の誤差やミスや思い違いや許容範囲外はあるからね」
面倒なことを、とぼくは思う。
でも面倒で終わらせなければ未来がある、ってママは言う。
「正々堂々と公に出来た証を頂きました」
ママは胸を張っている。
胸を張って生きてやる
それがママの目的だったのかもしれない。
河岸の花壇に、胸を張ったプレートが立った。