「やったぜ。わかったわかった」
とママは言うと紙を取り出した。
なんだろ。地図みたい。
「河岸の植栽帯に何が何本どこに植えてあるか
知らべが終わった。
これと土木事務所が持っている横浜市で植えた木のリストと
比べ合わせて
どれが横浜市の持ち物で
どれが個人が植えちゃったものかを洗い出せる」
地図にはせんがいっぱい引っ張られていて
植物の名前が書かれている。
これが10枚。
1丁目から5丁目まで全部調べたの?と聞くと
そうよ、と返ってきた。
「緑アップでやってくれるかと思ったら
そうでもなくて
市民による事業だということみたいで。
私、市民だし」
と言うとママは地図を並べだした。
ママの仕事机は仕事机らしくなっている。
PCも置いて、そこにはぼくの写真が載っている。
やっぱりもう少し長い机にすればよかった、と呟きながら
広げた地図を見ている。
「個人で植えたものは横浜市の管轄外だから
河岸通り会で検討して処分できるのよね。
そうすると空き地ができて
横浜市の持ち物の樹木を移植できるでしょ?
空いたところに新たに緑アップ予算から苗木を買える、と」
ふむふむ、良い作戦だ、とママは頷いた。
すごいね、だいぶ進んだんじゃない?とぼくも合いの手を入れる。
「まだまだ全然だよ。
これ全部埋めなきゃいけないんだから。
まだ1/10くらいじゃない?」
ママは枠だらけの用紙を机に並べだした。
ちなみに植栽リストはこの用紙に記載する内容ではない、
その前の段階だ、と肩を落としている。
それって、下準備?と聞くと
そうよ!そんなことばっかりよ!世の中は4連休なのに!と
ママは天を仰いで叫んだ。