うっすら覚えてる記憶で、
誰かがふたりでしゃべってた。
「こ、この、ノミ子がぁぁぁぁ!」
と絶叫する声と
「ノミ子だなんてかわいそう。
ひっくり返して、
こ、ノミ。
このみにしよう」
という呑気な声。
あとで目が開いてわかったんだけど、
この二人は、ぼくのママとパパになった。
そしてママは
「本当はあんたの予定じゃなかったんだから。
ワタボコリの子供をうちに呼ぶかで悩んでたのに」って
ぼくの頭を小突きながら、
今でも言ってる。
ママの部屋の下で、
ワタボコリって呼ばれる若い猫が、
子供を産んだ。
その子達がちゃんと育っているか、
パパとママで代わる代わる見に行っていた時だったんだ。
ぼくが落ちてた。
ぼくは点滴と輸血を終え、
ママとパパが待つ小さな部屋に帰ることになった。

080915_2042~01