雨ばかりの秋にも時折、陽が差した。
夏の暑さも陰りを見せて、心地いい。
そんな日は、ぼくだって、お外に出たいな
って思うよ。
でもママは二階の窓を開けて仕事に行ってくれるので
部屋の中に居ながら外を感じている。
窓の外に、庭の奥に、何かがいる。
ん?
しまちゃん?
キャットミントの脇の
山桜桃梅の木の下で
しまちゃんは、うっつら、うっつら
眠っていた。
土の上に丸くなっていたので
きっと泥だらけなんだけど
ぼくがやったら
きっとママは怒るだろうけど
ぼくは羨ましく感じた。
秋の風がしまちゃんのヒゲを揺らしている。
ぼくに気が付かないまま
しまちゃんは、幸せそうに眼を閉じている。
これが、外で暮らす、良さかもしれない。
ぼくはいつまでも
窓の中から見つめていた。