最後のお風呂

パパが仕事に行くようになって
ばぁちゃんがトイレで転んで
ママは家に居るようになった。

「緊急の人だけ、仕事しに出るけど」
と言いながら
私は医者ではないのだよ。
それなのに緊急の話があるのだよ
って笑ってた。

今日はばぁちゃんに
風呂に入らない?って誘ってる。

「だってそれ、血だかカラーの残りだか
 わからなくなってる」

ばあちゃんは家に来た時より
髪が伸びて
つまりは、白髪が伸びて
そこについた血が
濡れたタオルで拭いても
取り切れていない部分が
残っていた。

ばぁちゃんは
えー
とか
だって体力無いしー
とか言いながら
しょうがない、入るか!
と気合を入れた。

よいしょ、よいしょ
とママとばぁちゃんは協力して
お風呂場まで向かい
お湯をはった湯船にばぁちゃんは浸かった。

湯船に浸かりながら
浴槽のふちに顎を乗せ
ママはシャワーで頭を洗う。

ほらみろ、血じゃないか
と言って流れる茶色い水を指さした。

「あはは
 やっぱり頭を洗うと気持ちがいいわね」
とばぁちゃんもまんざらでもない。

でも、体が浮いてきちゃう
と言われて、ママはばぁちゃんの肩を抑えた。
痩せに痩せたばぁちゃんは
自分で体を湯船に沈めておくことができない。

びしょ濡れのばぁちゃんを
湯船から抱きかかえて出し、
着替えを手伝って椅子に座らせると
ママは冷蔵庫に走った。

「風呂上がりにはサイダーだと」
って、びしょ濡れのママは
冷蔵庫を開ける。

ぼくがお風呂に入る時よりも
ママ、びしょびしょだね
って笑うと
まったくだ、と言って
ママも笑った。

ばぁちゃんはサイダーを飲み終えて
ぷは~
と言ってる。

なんだか、楽しい。

ばぁちゃんは、キラキラしている。


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