「いやぁ気持ち良かった。
やっぱりお日様って良いよね~」
ね~
とパパとママはきゃぴきゃぴ帰ってきた。
やっぱり釣りに行ったらしい。
大丈夫なの?外出して。
ぼくだって世の中が自粛ムードなことくらい知ってる。
そんな最中に遊びに行くなんて。
「遊びに行っちゃいけない、なんて言われてないのよ。
室内で密集するな、って言ってるんだもん。
空いてるお外に行くことはむしろお勧めなんじゃないかな。
という事で先陣切って行ったのよ、なんちゃって」
まったく、なにがなんちゃってだよ。
行きたくて行ったくせに。
ぼくは2人を呆れて見た。
「日光浴って殺菌にも良いのよ。
コロナ自体の殺菌というよりも
心の殺菌だな。
なんかスッキリする」
ほら、とママはぼくに写真を見せる。
ほんとだ。なんか、清々しいね。
ここからさ、と言ってママは写真をめくる。
あ!パパの上に真っ黒い雲!
「そうなのよ、ザーってやられるかと思ったけど
どっちだ、どっちだ、どっちだ、って言ってるうちに」
ほら、とまた写真をめくる。
「光が射した。
こういうことだな、なんてなんか納得しちゃった。
混沌とした中に、光が射すこともある」
うん、とママは頷いている。
ふーん。そういうの体感して来るっていいね。
そしてぼくにお土産は?と大事な質問をする。
きゃー
今日は何も釣れなかったのよー
と2人して悲鳴をあげた。
夕飯はどうするのと、ぼくは目を細めた。